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2022 ノーベル生理医学賞 SGLT2阻害薬?

[2022.10.03]

 久しぶりのブログです。大変興奮しながら10月3日午前2時、書き初めました。今週からノーベルウイークが始まると知ったからです。結論、2022ノーベル生理医学賞は、SGLT2に決まり?です。受賞者は複数になる可能性が大です。いの一番にSGLT2の発見者金井好克先生が最有力候補です。受賞理由①2型糖尿病薬、心不全薬、腎不全薬の創薬につながったSGLT2(sodiumglucose cotransporter 2/ ナトリウムグルコース共役輸送体2)を発見した。これにつきます。この発見を通じて、 トランスポーターを標的とした創薬に大きな道筋をつけました。②SGLT2阻害薬は大成功し、今や複数の臓器障害に対する内服薬として循環器、腎臓、糖尿病の分野で世界を席巻しています。膜輸送体(トランスポーター)を分子標的にした創薬の第一成功例SGLT2阻害薬は、唯一のメタボ改善薬(体重低下)、アンチエイジング薬、(寿命延長!?)とも呼ばれる様になってきました。心腎連関といわれていた臓器の相互作用が再注目されるきっかけとなり、・・連関という言葉は医学界において今や大流行です。

金井好克先生は、1990頃東大で分子生物学と神経生理学を研究していましたが クローニング技術を学ぶべく1991年留学、 ハーバード大学 マティアス・ヘディガ-(1987年カリフォルニア大学ロサンゼルス校でクローニングによってSGLT1発見)に師事しました。その後 15年間で沢山のトランスポーター発見。 そのうちの1994年に発見した腎近位尿細管トランスポーターSGLT2は結果として創薬に役立つトランスポーターでありました。Kanai Y, Lee WS, You G, Brown D, Hediger MA (1994) The human kidney low affinity Na+/glucose cotransporter SGLT2. Delineation of the major renal reabsorptive mechanism for D-glucose. J Clin Invest 93: 397-404

 SGLT2阻害薬は糖尿病の専門家からは生まれない発想の薬。尿に糖を出すという機序は、 従来の糖尿病薬に比べると、逆転の発想から生まれている様に見えます。しかし生体の物質分布のアンバランスをトランスポーターで正常化させようという発想は正攻法だったと評価されています。し

 私とSGLT2阻害薬との繋がりは、2010年頃に糖尿病薬としての国内Phase3臨床試験、2社にほぼ同時に20名、19名参加させていただいた事に始まります。その後たまたま、糖尿病性慢性腎臓病を主要評価項目としたCREDENCE試験にも参加する機会を得ました(その経過は当院ブログですでに細かく触れています)。当時既に私は、動物実験論文や腎臓の近位尿細管研究の第一人者からお話しを伺い、腎臓病薬としての期待を強く抱いていました。東京の椿山荘で行われました治験責任医師に対する説明会では、外国からの治験代表医師たちに、熱く、なぜ他社(既にSGLT2阻害薬は6製剤発売され始めていました。)は、腎臓病試験を始めないのかと迫りましたが、その後海外2社が追随して良い結果となっています。そして2014のSGLT2阻害薬発売以降は、当院の大勢の患者さまに使っていただきました。2017年厚生労働省調査では、この薬の処方箋発行枚数が、群馬県が全国1位となりました。お陰様でSGLT2阻害薬につき、出張可能な範囲内で多くの都市で講演させていただきました。2020年からは、SGLT2阻害薬の医師向け講演会で『 SGLT2阻害薬はノーベル賞までたどり着くか!?』というタイトルを使い私の熱い思いを伝えてきました。

 さあいよいよノーベル賞ウイークです!今年こそは絶対受賞すると思いますが?・・・・・!

 

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