当院定期受診者様へ
当院をかかりつけ医とされている患者様に特に知っておいていただきたいこと
①がんを見逃さない(早期発見・早期治療、がん検診を毎年受ける)
②脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)・心筋梗塞が疑われる場合は、救急車を呼ぶなどして一刻も早く(発症後2時間以内)太田記念病院へ受診をする(自分の命は自分で守る)
自分で治療のタイミングを逃さないことがとても大切となります。
脳卒中・心筋梗塞の症状
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の症状
- 片方の手足・顔半分の麻痺・しびれが起こる
(手足のみ、顔のみの場合もあります) - ロレツが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
- 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする
- 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
- 経験したことのない激しい頭痛がする
心筋梗塞の症状
- 突然に胸が焼けるように重苦しく、押しつぶされるような、締め付けられるようになって、冷や汗が出る
- 吐き気がある、吐くこともある
- 上記症状が長く続く(10分以上、時には数時間続くこともある)
- 放散痛(上腕・左肩・顎・背中などに拡散する痛み)
- 意識がなくなる
- 動悸がする(胸が苦しく締め付けられる感じがする、胸がドキドキする、心臓の鼓動が激しい)
- 呼吸が苦しくなる
- 37℃台の発熱
- 倦怠感がある
- 食欲がなくなる
標準的な症状がなく、いつ発症したのか分からない場合もあります。
脳卒中の中で急激に症状が起こると言われているくも膜下出血でも、2~3日後に診断がついたという症例も見受けられます。脳梗塞の中で心房細動に伴う心原性脳梗塞は比較的症状が急激に完成されますが、それ以外の脳梗塞の場合に数時間から半日にかけて症状が明らかになってくる場合もよくあります。
心筋梗塞によっては、痛みを覚えない場合もありますし、軽い症状でおさまる場合もあります。
自ら感じる症状の強さと病気の重症度は、必ずしも一致しないことがあります。何らかの異常症状があった場合、その強弱に関わらず119番に電話をし、救急車を呼んでください。
睡眠中など深夜に症状が起こった場合、我慢強い人は朝まで様子をみようとして、かえって手遅れになることがあります。
予後を良好に保つためには早期発見・早期搬送・早期治療が病状の深刻化を避けるための決め手となります。
「脳卒中・循環器病対策基本法」成立
2017年に立法化された「がん対策基本法」に引き続き、2018年12月、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(以下、脳卒中・循環器病対策基本法」が成立しました。同法は、脳卒中や心筋梗塞などの循環器病の予防推進と、迅速かつ適切な治療体制の整備を進めることで、人々の健康寿命を延ばし、医療・介護費の負担軽減を図ることを目的としています。
対策基本法(案)の基本理念
- 予防と発症時の適切な対応に関する市民啓発
- 全国どこでも、適切な救急搬送・救急受診によって速やかに医療が開始され、維持期まで継ぎ目なく継続されること
- 後遺症患者と家族の、生活の質を維持・向上させ、社会参加を促すこと
- 専門的、学際的、総合的な教育・研究の推進、普及、活用
- 情報収集体制を整備し、分析し、活用すること
法制化により、超高齢社会の抱える課題に応えるばかりでなく、現在これらの疾患に罹患している患者や家族の方々、さらには、将来健康的で良質な生活を過ごすことを目指している次世代の国民を支援するうえで大きく貢献するものと期待されます。
さて、以上堅苦しく書いてきました。
しかし、病気をそもそも起こさせない。予防する事が最も大切である事は皆様にもご賛同いただけると思います。
そのために当院では皆様に定期的に(月1回)お薬を処方しております【2次予防】。さらに、生活習慣(食事、運動、睡眠、喫煙)改善【1次予防】のヒントになる最新情報(医学的に確証された)を、月1回糖尿病教室(原則毎月最終土曜日90分間)として開いておりますので、糖尿病があってもなくても興味あるテーマを選んでぜひ参加してみて下さい。
最後に最も知っておいていただきたい事は「タバコの害」です。がん、脳卒中、心筋梗塞以外にも色々な病気があります。肺気腫(COPD、慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれています)になると酸素ボンベを転がしながら、少ない余命の間を苦しまなければなりません。しかもなんと群馬県が日本の中では一番喫煙率が高いそうです。中毒の一つなのでなかなかやめることは簡単ではないでしょうが、あらゆる病気で一番予防効果があるくらいに厳しく考えてもらって結構です。
最後に、当院をかかりつけ医としていただいている皆様の健康を末永くお祈り申し上げます。